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 ニャンと気ままに…♪   

🌸日常生活の雑感と他愛のない詩など小作品を紹介します       comment もお寄せ下さいね。      

5.詩「天使のいる町」

ここはどこの町ですか?
駅の名は羽生・・・そうですか
「はにゅう」と読むのですね
田園に囲まれた街並みの
小さな駅舎の中までも
さわやかな風がふいてきます

そんなふうに 旅の気まぐれで
初めての駅に降りたのは春の頃
駅前の藤棚の下に
子供たちの声が響いていました
両手をあげて
幾度となくジャンプをくりかえし
長い花房にふれようと 小さな体が宙に舞う
羽ばたくように 飛ぶように
その手が藤の花をゆらすたびに
ひときわ大きな歓声があがっていたのです

町を離れる日の夕暮れ時は
木犀の花の香りでいっぱいでした
駅のホームには見送りの友人・知人
その中に 一人の少女は赤い巾着袋を手にし
はにかんで笑っていました

やがて電車がきました
別れの言葉が飛び交うなか
花の香りが一層強まったと思ったそのとき
金と銀の雨が 本当に突然に
パラパラパラ―ッと天から降ってきました
そう・・・その少女の手から放り投げられた
金木犀・銀木犀の小さな小さな花が
夕陽をうけてキラキラと
頭に肩に足元にと降りそそいでいたのです

そのとき確かに
少女の背中に そして
あの日の藤棚の下の子どもたちにも
すきとおった天使の羽が
生えていたような気がしたのです

※ 2006年、羽生市が主催する「第5回ふるさとの詩」で優秀賞をいただきました。
  隔年に行われるこの募集は、羽生市にゆかりのある太田玉茗を顕彰するとともに
  詩の素晴らしさを・詩の文化を全国に発信するために行われています。
  この年のテーマは「駅」でした。これまでは町・山・川・橋などでした。

 太田玉茗は田山花袋「田舎教師」の作中において、成願寺和尚・山形古城の名で
 登場します。明治詩壇前期においては、島崎藤村や国木田独歩とともに日本の
 近代詩史に名をとどめた新体詩人の一人でありました。
 私自身は玉茗の詩の中で特に「宇之が舟」に感動し、なんど読んでも涙してしまいます。
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