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 ニャンと気ままに…♪   

🌸日常生活の雑感と他愛のない詩など小作品を紹介します       comment もお寄せ下さいね。      

15. 「呼子の笛」

   童話「呼子の笛」

昔々、コロコロ山のてっぺんは高い雲のうえまでつきぬけていて、それはそれは住みよいところでした。 
季節は春と秋だけで、あたり一面に色とりどりの花がさき、小鳥がさえずり、木々や草草は緑の葉を茂らせたかとおもうと、おいしい木の実や果物を実らせてみんなをよろこばせました。みんなというのは・・・まるでコロコロ山のうえに広がる青い空の色に染まったようなたくさんの青鬼たちでした。

青鬼たちの仕事は空の番をすることでした。青い空に雲を広げて陰を作ったかと思えば、雲を払いのけて、地上にさんさんと太陽の光をふりそそがせました。ときには雲のなかから雨や雪やヒョウやイナズマまで降らせたり、夜になるとたくさんの星を空にちりばめたりして、地上に住む人間たちの生活を助けていたのでした。

「おとうちゃん、きょうもみんなで雲を作ってあそんでもいいでしょう?」と青鬼の子どもがおねだりしています。 子ども鬼たちはいつも大人鬼のお手伝いをしていました。そのなかでもとくに雲作りが大好きで、色々な形の雲をつくってはこわし、作ってはこわして一日中遊んでいました。
「そうだな、日照り続きだったから、人間たちもそろそろ雨ふりを待っているだろうし、おまえたちが好きなだけ雲を広げていいぞ」おとうさん鬼が雲カレンダーをめくりながら、まわりの子ども鬼たちに言いました。
「わーい、雲つくろうっと」
子ども鬼たちは、大人鬼たちが雲小屋からひっぱりだしてきた雲をてんでに抱えて、青空めがけて散らばって行きました。さっきまで真っ青だった空に、色々な形の白い雲がもくもくとできていきました。 地上の村々では、人間の子どもたちが空の雲を指差してさけびました。
「あ、モチみてえな雲だ。うまそ~」
「こっちのは、おっかあの顔みてえだ」
「牛もいるだ、いや馬っこかなあ」
「魚だって、ホレ跳ねているみてえだよ」
子ども鬼たちが、あまりに夢中になっていろんなものを作るので、空はたちまち厚い雲におおわれました。

「さあ、もうお前たちも気が済んだだろうから、そろそろ雨にするか。人間のおっさんたちが今か今かと待っているだろうからな」
そう言って雲の中に突き進むと両手両足で雲をけ散らしはじめました。雲はみるみる小さな雨の粒になってポツポツ落ちていき、やがて激しい雨になり、畑や田んぼや野原の緑がグングンと生き返って行くようでした。
雪を降らせるときは、お母さんたち女鬼の出番でした。手に手に小さな編み棒を持って雲の繊維をすくい取り、きれいなレース模様を編んでから降らせます。それはとても細やかな作業なので男鬼にはまねができません。でも稲妻や雷の太鼓は力自慢の男鬼のかっこいいあこがれの仕事でした。
ヒョウは雲をにぎり固めて作るので誰にでもできる仕事です。大人鬼たちはピンポン玉のように、子ども鬼はパチンコ玉のようなヒョウをふらせました。それはとてもとても幸せな毎日でした・

そんなある日、コロコロ山にチラチラと雪がふってきました。春と秋だけだった山に冬がやってきたのです。 雪は毎日毎日ふり続き、花も緑もすっかり雪におおわれてしまい、青鬼たちは寒くて寒くてとても耐えられそうにありませんでした。すると長老の鬼がみんなに言いました。
「こんなに寒い季節がやってきちゃあ、きっと死んでしまう仲間がでてくるにちがいない。そうならねえうちに、寒がりもんは山を下りて里に住んだほうがよいと思うんだが、いかがなもんかのう」 青鬼たちはみんな顔を見合わせてうなずきました。
寒くて死にそうだと思っていた鬼もたくさんいたからです。
そこで寒さに強い鬼とよわい鬼を分けて、コロコロ山のてっぺんと山里とに分かれて住むことにしました。青鬼たちは仲間のしるしにと、雪のうえに伸びていた細い青竹を切って笛をつくりました。遠く離れていても互いに呼び合うことができるという呼子の笛です。
そして別れの朝、鬼たちはお互いの姿が見えなくなっても、いつまでもいつまでも笛を吹き続けていました。

さて、山を降りた寒がりの青鬼たちは、やっぱり山里の冬の寒さにも耐えられそうにありませんでした。といって、人間のように着物を着ることなど鬼のメンツにかけてできません。そのうち鬼たちは、人間が火という便利なものを使っていることを知り、同じように火を作って体を温めようとしましたが、火が消えた後の寒さはもっとつらくなってしまいました。
そこで青鬼たちは冷たい川の水をためてドカンドカンと火をおこし、水を湯に変えてから、その中で体を温めることを考えだしました。ところがあまりに一生懸命に火をおこしたので、鬼たちの青い体がうっすらと赤味をおびてきました。
「さあ、みんな来い来い。骨のなかから芽がでてきそうだあ」青オ二たちは我先にとお湯につかって喜びあいました。
「ああ、なんちゅう心地よさだ、なあ兄弟よ」
「ああ、まったくだまったくだ」
しばらくの間そうして湯につかっていましたが、気がつくと鬼たちの体がいつの間にか湯気のなかで真っ赤に変わっていました。
「ありゃりゃ、こりゃどうしたわけだ」
「まあいいだ。こんな色も悪くはないだ」
「だが、こんな気持のよいものをオレたちだけで楽しんでいちゃいかんよ、なあ兄弟たち」
「んだ、んだ」
というわけで、真っ赤になった鬼たちは、あちらこちらの川の水や地下の水を湯に変えて、人間や動物たちにも使ってもらうことにしました。人間たちはこれを温かい泉・・・温泉と呼んでとても喜びました。
赤くなった鬼たちは「これをオレたちの新しい仕事にしよう」といって、それからずっと、今日も隠れたところで一生懸命にお湯を沸かし続けているのです。

しかしそんな赤鬼たちも、季節がめぐり、冬が来て雪がふる夜はコロコロ山の仲間たちが恋しくなり、山に向って静かに笛を吹きだします。すると山の方からも渇いた風にのって、かすかに笛の音が聞こえてくるのです。
いつか雪が降ったら耳をすましてごらんなさい。
きっと青鬼と赤鬼たちの吹く呼子の笛が聞こえてくるでしょう。

※この童話は、2003年(平成15年)、第2回のぼりべつ鬼の童話コンテストで
優秀賞をいただいたものです。
 鬼って…なんなのでしょうね。 童話にもいっぱい出てくるけど… 神さま? 
悪魔? 恐いもの? 優しいもの? こっけいなもの? 頭いいの? 頭悪いの?
 全部が当てはまっちゃうのがすごいよね。 わたしは…憎めないもの…に一票!

※その後、入賞作品を対象に「紙芝居コンクール」が行われ、芦田真弓さんが優秀賞に選ばれました。
10枚のうち5枚を紹介します。
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