
「ゴイサギ」
片脚の骨が折れたゴイサギが庭に舞いおりた
皮一枚でつながった脚を引きずりながら
どうにかしてくれとでもいうように
腹もへった…と言わんばかりに横たわった
玄関の段ボール箱にゴイサギを寝かせて
水を張った洗面器を置き
魚屋で買った十匹程のドジョウを泳がせた
ゴイサギはチラリ見をしてから
無関心を装ってまた横になった
しばらくして外から戻ると
洗面器はすっかり空になり
ゴイサギはフンを撒き散らしながら
家の中を飛びまわっていた
ゴイサギを生かして ドジョウを殺した
チクリと胸が痛んだ
誰かを生かし 誰かを殺し
私もそんなふうに
生きているのかもしれない
思い起こせば
そんな心当たりの一つや二つあるような…
いや、誰もがそんな罪を背負っているのかもしれない
隣町の草深い川べりに行き
ゴイサギを空に放すと
折れた片足の先をヒラヒラさせながら
はるか遠くに飛んで行った
畔道などで不器用につまずきながら
虫や魚を捕って生きていくんだろうな
足の皮一枚を切り離してやればよかったな
そんなことを思っていたら
柳川鍋でも食うか…と
そばにいた夫がつぶやいた
※ゴイサギという和名は、醍醐天皇から褒美として正五位を賜ったからとか。
また夜にクワッとカラスのような声で啼くので夜烏(ヨガラス)の別名もあるとか。
片脚の骨が折れたゴイサギが庭に舞いおりた
皮一枚でつながった脚を引きずりながら
どうにかしてくれとでもいうように
腹もへった…と言わんばかりに横たわった
玄関の段ボール箱にゴイサギを寝かせて
水を張った洗面器を置き
魚屋で買った十匹程のドジョウを泳がせた
ゴイサギはチラリ見をしてから
無関心を装ってまた横になった
しばらくして外から戻ると
洗面器はすっかり空になり
ゴイサギはフンを撒き散らしながら
家の中を飛びまわっていた
ゴイサギを生かして ドジョウを殺した
チクリと胸が痛んだ
誰かを生かし 誰かを殺し
私もそんなふうに
生きているのかもしれない
思い起こせば
そんな心当たりの一つや二つあるような…
いや、誰もがそんな罪を背負っているのかもしれない
隣町の草深い川べりに行き
ゴイサギを空に放すと
折れた片足の先をヒラヒラさせながら
はるか遠くに飛んで行った
畔道などで不器用につまずきながら
虫や魚を捕って生きていくんだろうな
足の皮一枚を切り離してやればよかったな
そんなことを思っていたら
柳川鍋でも食うか…と
そばにいた夫がつぶやいた
※ゴイサギという和名は、醍醐天皇から褒美として正五位を賜ったからとか。
また夜にクワッとカラスのような声で啼くので夜烏(ヨガラス)の別名もあるとか。
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