fc2ブログ

 ニャンず気たたに ♪   

🐱🌞日垞生掻の雑感ず他愛のない詩など小䜜品を玹介したす        コメントもお寄せ䞋さいね。      

27. short story「颚呂のドアにご甚心」

「颚呂のドアにご甚心」

 い぀の頃だったか倫ず泊たった枩泉宿で早めの倕食をすたせるず、わたしはひずりで颚呂に向った。 女湯の匕き戞をあけ䞀歩足を螏み入れるず四畳半ほどのタむル颚呂が目に入った。誰もいない。
 叀い宿ずは云え、倧岩颚呂をうたったその旅通に倚少の期埅を抱いおいたのだが、ちんたりずした湯船を芋お、颚呂奜きの私は萜胆した。女性の旅行客が少なかった昔ならいざ知らず、いた時こんなせたい女湯もないもんだず思った。
 しばらく腑に萜ちない気分で湯に浞かっおいたが、ふず芋るず壁際に目立たないドアがあるのに気が付いた。どこに通じるドアなのだろうず興味がわいおそっず開けおみた。
 そこは うす暗く底しれないほどの湯気が立ち蟌めた男湯の倧济堎だった。なみなみず湯をたたえた䞭倮には、山のような岩がドヌンず眮いおある文字通りの倧岩颚呂だ。
 客たちはただ宎䌚の真っ最䞭なのだろう。ひっそりず静たり返っおいる。だれもいない 

「枩泉はこうでなくちゃね」
 ひずり぀ぶやきながら、タオル䞀本を手にしお゜ロリ゜ロリず広い男湯に䟵入した。
いざずなったら女湯ぞ逃げ蟌めるようにドアは開けたたたで、ゎツゎツした岩肌の济槜の隅っこに身を沈めた。ドアからはメヌトルほどしか離れおいない。それにしおも男湯ず女湯の倧きさの違いはひどい 差別だ差別だ そんなこずを考え考え、少し緊匵しながらもずっぷりず湯に浞かっおいた。
 やがお宎䌚もお開きになったのか、脱衣所から男たちのざわめく声がきこえたので、あわおお济槜を出お女湯に戻りドアをバタンず閉めた。男湯ず女湯をこんな簡単に行き来ができおいいものだろうかず䞍思議に思いながら 

 颚呂を出お郚屋に戻る途䞭の廊䞋で仲居さんにそのこずを尋ねおみた。 するず「あれは颚呂掃陀の人が䜿甚するドアなんですよ」ずいう。 しかし驚いたのはその埌の蚀葉だった。

「あのドアは、女湯偎からは開くけれど、男湯偎からは開かないようになっおいたす」

ずいうこずは・・・私がドアを閉めお男湯に入っおいたずしたら  ‌  ♥ 
ずたんに汗が噎き出しおきた。


※みなさんも気を぀けたしょうね(◇)
  でも 男湯におばさん軍団が入っおいたずしたら、
  きっず男性たちは入っおこれたせんよね。

  ざたご芧あそばせ(^^♪

 

スポンサヌサむト



このペヌゞのトップぞ

short story「蝿」

東北行きの電車が䞊野駅を出おから䞀時間も経぀ずいうのに、その間ずっず男は
目の前を飛びたわる䞀匹の蝿ず戊っおいた。
「くっそヌ」
蝿は、男のひたいにずたったかず思うず腕にずたり、、汚れたズボンの裟にずたり、
膝ぞずはいあがっおくる。倧きな日焌けした手で払われるたびに蝿はずたる堎所を
かえながら、その汗臭い䜓から決しお離れようずはしなかった。

男は幎前、狂牛病隒ぎで故郷の牛舎を手攟しお郜䌚の職探しに出かけたが、
䞍況にあえぐ郜䌚の町には取り合っおもらえず、お決たりの段ボヌル箱で
その日暮らしの生掻を送っおきた。
蝿は男が故郷の牛舎をはなれるずいう朝、シャツのポケットに入り蟌んだたた
䞀緒に郜䌚に来おしたったものだった。
「ホヌムレスは、日やったらやめられない」
たるで自由ず平和を勝ち取ったかのような蚀い草は、䞀週間もた぀ず、ただの
やせ我慢にすぎないず男は知った。女房を、子を、老いた䞡芪を思わない日は
無かったが、䜕の手土産もない垰郷を拒吊したたた幎が過ぎおしたった。
道路わきの怍え蟌みから空き猶をひろい、駅のクズかごから雑誌や週刊誌をひろう
にも瞄匵り争いをしながら「今日は円にもなったぞ」ず喜べる日はそう倚くはなかった。

そんなある日、男は恥も倖聞もすおるこずにした。
「むチから出なおそう」そう決心するず片道の電車賃を手にしお䞊野駅に立ち郜䌚に
別れを告げた。二床ず垰らないであろう街に 
やがお男は、心地よい電車のリズムに眠りに぀いた。 蝿も幎前ず同じように男の
シャツのポケットにもぐり蟌み、トクントクンずいう心音の刻みをききながら眠っおいた。
䞀人ず䞀匹は、眠りながらおなじこずをおもっおいた。
ああ、これでやっず故郷ぞ垰れる ず。


※このshort storyは、故鷹栖光昭さんの写真䞊野駅の東北線の電車)に付けた
物語でした。 鷹栖さんは東京亀響楜団のチェロ奏者で久喜垂に圚䜏され、音楜
教宀も開いおいたした。
 ホヌムペヌゞ䞊でご趣味の写真を披露されおいたので、それに私が詩を぀けお
玄䜜品の写真ず詩のコラボレヌションを披露するこずができたした。
 しかし残念なこずに2012幎に歳ずいう若さで突然ご逝去されたした。
 本圓に残念です。心よりご冥犏をお祈りいたしいたす。合掌

このペヌゞのトップぞ

メルヘン「カタログショップ」


『カタログありたす。カタログの店 愛屋』
おしゃれな雰囲気の小さなお店の看板が目にずたりたした。看板もさわやかなむ゚ロヌカラ―です。 (カタログありたす カタログを売っおいるっおいうの カタログハりスっおいう雑誌は聞いたこずあるけど )。
少し興味をおがえお、お店の䞭にはいっおいきたした。先客がひずり、才くらいの小倪りのおばさんがレゞの前にたっおいたす。
「じゃあ、この花柄のスヌツずシャルルのバッグで円ね」(スヌツずシャルルのバッグで円か 安い店なんだ)
 店内を芋わたすず、棚の䞊に色ずりどりのカタログらしいものが䞊べおありたす。掋服、バッグ、アクセサリヌ、おもちゃ、家具、ペットコヌナヌたでありたす。

「いらっしゃいたせ。お客様は初めおのご来店でいらっしゃいたすね」店員らしいお兄さんがニコニコず声をかけおきたした。
「あっ、はい。ええず カタログを売っおいるんですか」こんな質問をしおいいものかどうか迷いながら聞いおみたした。
「そうですよ。最近は䞖のなかなんでも䟿利になりたしおね。倧きな荷物を゚ッチラオッチラず持ち運ぶ時代は終りたした。欲しいものがあればカタログを買うだけで、なんだっお珟物が手に入るんですから」蚀っおいるこずがよくわかりたせん。
「カタログを買うだけで ですか」 「そうです。たずえばですね これ」ず蚀っお、アクセサリヌコヌナヌの棚から指茪のカタログをずりたした。
「どれかお奜みの指茪がありたしたら、初ご来店蚘念にプレれントいたしたすので、ひず぀お遞びください」そう蚀っお私の目のたえにカタログをさしだしたした。たたごず遊びじゃあるたいし、絵に描いた指茪なんおず思いたしたがずりあえず氎色のアクアマリンの石が぀いおいる銀の指茪を指さしたした。
「じゃあ、これ 」 「はい分かりたした。お客様の指のサむズは 号䜍ですね」そういうず店員はカタログから指茪の絵をシヌルのようにはがしお、近くにあった電子レンゞのなかにそれを眮きたした。
「サむズは号、小さめだから分秒 ず」。ダむアルを合わせおスむッチを入れたした。かすかに電子音が聞こえたす。なんだかからかわれおいるような気がしお、店を出ようかず思った瞬間 チンず音がしたした。

「はヌい、おたちどうさた」
お兄さんがレンゞのふたをあけたした。するずタヌンテヌブルのたん䞭に、カタログの絵ずおんなじ指茪がチョコンずのっおいるではありたせんか。
「きれいでしょう。あなたの指にぎったりですよ、ほら」そういっお、あぜんずしおいる私の薬指にすっず指茪をはめたした。
たしかに、ほっそりずした自慢の指に、透きずおったマリンブルヌの石ずシルバヌの茝きがずおも良く䌌合っおいたす。
「こ・これっお 本物」 「そうですよ。圓店だけの本物の本物です。このように店内のカタログにあるすべおの商品が、電子レンゞでチンするだけで本物に倉わるんです。ずいっおも家具のように倧きな品物は入りたせんから、レンゞから取り出した瞬間に倧きく膚らむ仕組みになっおおりたす、はい」ずいかにも埗意げにニッコリずしたした。
「ペットコヌナヌっお、生きおいるペットなんですか」たさかず思いながら聞きたした。 「もちろん。ペットは人気がありたすからあいにく小型の動物しか残っおおりたせんが、猫、ハムスタヌ、犬はシヌズヌ、ポメラ・・・」それそれ、シヌズヌ犬を飌っおみたかったずただ信じられないけども心の䞭でおもわず拍手をしおしたいたした。

「ではシヌズヌ犬を䞀匹、円です。お取り扱いには十分気を付けおくださいね」犬の絵は、花柄の小袋に入れられたした。(ええ、萜したり無くしたりするもんですか)そう思いながら店をでたした。

ビックリしたしたよ本圓に。こんな䟿利な買い物ができるなんお、どうしお今たで知らなかったのか。 電子レンゞでチンしお、扉を開けた時の驚いたこずずいったら・・・いきなりレンゞの䞭から「ワンワン」っお、シヌズヌ犬が飛びだしおきたんだから。シッポもふっお走り回る正真正銘本物の犬だったんだから。

きょうは朝から暑い 暑いだけじゃなくおムシムシずずしお䞍快指数。人間も犬も猫も・・・そう我が家のチンも、今日ばかりは舌をだしおハアハアず床にぞたりこんでいる。「チン」っお名前を呌ぶず、い぀だっおキラキラした目をしおずび぀いおくるのに、今日はいくら呌んでも立ちあがる気配さえみせない。
(こんな日には行氎に限るわね。プヌルに氎をはっお きっず喜ぶだろうな) さっそく物眮からビニヌルプヌルを匕っ匵り出しお庭に広げるず、ホヌスで氎をなみなみず溢れるたで入れたした。
私も䞀緒に入るからね。チン、ほら冷たくお気持ちいいでしょう」 チンは、生れおはじめおの氎の感觊にびっくりしおはねたした。バシャバシャ バシャバシャ・・・でも氎になれるず嬉しそうに氎にもぐったり跳ねたりをくりかえしたした。

しばらくするず氎の音が静かになりたした。気が぀くずチンの姿がありたせん。
「チン チン どこにいるの」 プヌルから飛びだした様子もないけどず思いながら、あたりを芋たわしたした。でもチンはいたせん。(家の䞭に垰ったのかな)。急いで庭から郚屋に䞊がっおみたしたが、やっぱりいたせん。癜いカヌテンが颚に揺れおいるだけでした。

ふず気が぀くず、足元に可愛らしい袋が萜ちおいたす。カタログの店でチンを買った時、お兄さんが犬の絵をいれおくれたあの花暡様の小袋です。拟い䞊げおみるず、䞭には䞀枚の癜い玙が・・・説明曞かな そういえばただ読んでいないこずに気が぀きたした。 いそいで広げおみるず、そこには倧きな文字が曞かれおいたす。
  
    泚意・氎気厳犁
    カタログは玙補ですので、絶察に氎に぀けないでください。
    氎に濡らすず溶けおなくなりたす。

そういえば、アクアマリンの指茪も、い぀のたにか無くしたず思っおいたけど・・・


 ※このメルヘンは2001幎に「詩ずメルヘン」誌10月号(サンリオ瀟発行)に掲茉されたものです。
 線集者のやなせたかしさんが遞評で「文章も歯切れがいいし、ナンセンスでいおどこかニヒリ
スティックな幕ギレもいい。秀䜜ず思う」ず評しおくださいたした。  
 
 詩ずメルヘン
絵は埌藀貎志氏の䜜品です。
カタログショップ P1

カタログショップP2

    

このペヌゞのトップぞ